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将棋川柳は面白い/ヘボ将棋王より飛車を…

    
 

 川柳が盛んだった江戸時代には、将棋や囲碁に親しむ庶民の様子がたくさん読まれています。

 タイトルに掲げた「ヘボ将棋王より飛車をかわいがり」という句は、いつごろ誰が読んだものかは知りませんが、格言にも似た川柳であまりに有名です。

 分かりやすくて説明するのもヤボですが、少し付け加えますと、からかわれているのは飛車の威力だけは知っているレベルです。でも、飛車に頼った攻め方しか知らない。だから、「飛車を取られたらもうおしまい」と思ってしまう。たぶん、初級から中級にさしかかった辺りまでのレベルでしょう。もっと強くなると、飛車を切って勝つ術(すべ)を覚えます。飛車に限らず、大駒を捨てて勝つのは実に気持ちのよいものです。

 飛車にまつわる川柳ではこういう句もあります。

飛車手王手をするときのその早さ

 江戸時代には王手飛車のことを「飛車手王手」と言ったらしいのです。すごい手があるのを相手に気づかれたら、駒をはがされてしまう。だからその前に急いで…ということですが、相手が指す前なら「待った」が許される間柄なのでしょう。もちろん、正式なルールでは駒を置いた手が一度離れたら最後、着手の変更はできません。しかし、そこは縁台将棋。「その早さ」という言葉に、姑息(こそく)ともいえる将棋指しのおかしみが出ています。

 将棋や囲碁では、「待った」と共に、「助言」もしてはいけないことになっています。でも、そんなことは庶民には関係なかったことが、次の句でわかります。

助言無用と雪隠にいてどなり

 雪隠(せっちん)は厠(かわや)とか、はばかりなどとも言われましたが、トイレのこと。対局中に用を足しに行っている間に、観戦している人が相手に助言するのではないかと、心配でたまらないのですね。まあ、こっそり助言するつもりなら、トイレで大声出そうがむだなことですが…。

知らなくても楽しめる囲碁川柳

 ついでに囲碁川柳も解説つきで紹介しておきましょう。同じ勝負事ですから、心理はほとんど同じです。囲碁のルールを知らなくても、将棋にそのまま置き換えればおかしみがわかるでしょう。

あの馬鹿が本因坊に二目置き

 本因坊家は江戸時代の囲碁家元で、名人を輩出した名門。置石の二目はハンディキャップで、将棋でいえば香落ちに近く、トップ棋士に二目なら立派なアマ強豪です。

言いそうな助言を言わぬ女房ども

 状況がわかりづらいと思いますが、「碁を教えた女房が、自分よりはるかに強くなってしまった」という前置きが隠されています。そんな女房に助言されたら、亭主は自尊心を傷つけられてどなるに違いない。だから、じっと黙っている女房たちの様子を詠んだ句で、実質的な主役はヘボな手を打った亭主です。

 古川柳は江戸時代の生活様式や風物、世相などを知らないと、理解できないものが多いのですが、囲碁・将棋愛好家の心理は昔も今も変わらないようで、楽しめます。

 ところで川柳と言えば、現代では「サラリーマン川柳」がウケています。他人のおかしさを詠むのではなく、もっぱら会社での立場や家庭での居場所に関しての自虐ネタを披露するのが、普通の川柳と異なるところです。将棋や囲碁の川柳は、自分の姿を客観的に見つめるのが難しいので、先に紹介したような、他人を観察する句になるわけです。あなたも将棋川柳、作ってみませんか?


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