王を詰ます練習問題+寄せ〔初心者講座2〕
将棋は相手の王を詰ますゲームですから、どんなに駒得していても詰ます力が弱いとなかなか勝てません。初心者同士の将棋が終盤になって長引くのは、どちらも相手の王を詰めるチャンスが何度もあるのに、なかなかそれに気がつかないからです。将棋の強い人がそれを見て、ため息をついたり、思わずヒントを言いたくなったりする気持ちはわかります。でも、それはご法度(はっと)。我慢しなくてはいけません。
このように、強い人を歯がゆく思わせる初心者のほうは、もっとつらいのかもしれませんね。その状態を早く卒業するための処方箋(しょほうせん)が、「王を詰ます練習問題」なのです。
1.超かんたん3手詰問題 2.少し考える1手詰問題 3.5手先を読む実戦的詰めの問題 4.捨て駒あざやか3手詰問題 5.王手は追う手。「詰めろ」で寄せる 6.王を逃がさない寄せと読み |
7.将棋・詰めの手筋(飛車の使い方) 8.詰めの手筋2(角・銀・桂を使う) 9.やさしい必至のかけ方(詰めよりも必至) ※各ページの内容は下段へ |
「超かんたん3手詰」から「少し考える1手詰」へ
ここで練習する 「3手詰」は何の手筋も使わない、当たり前の手で詰ます問題です。相手の応手も難しくなく、また、思いがけない駒が詰めるのを妨害しているというような、こみいった図でもありません。図を見ながら、頭の中で3手、駒を動かしてみるトレーニングだと考えてもよいでしょう。
一方、「少し考える1手詰」のほうは、たった1手なのに少してこずるかもしれません。それは着手の選択肢が多く、意外なところに守り駒がきいていたり、空き王手や両王手などの手を使うひねった問題が多いからです。一手詰でも、頭の中で何通りもの図を想定しなければならないでしょう。
実戦に現れやすい形の問題で、詰めの力をつける
3つ目のステップで、ようやく「少し考える3手詰問題」になります。それでも、将棋雑誌に載っている3手詰の問題よりかなりやさしいでしょう。それはパズル的な詰将棋ではなく、実戦に現れやすい形の基礎的な問題だからです。
そして、その次に「5手先を読むかんたん並べ詰」、「手筋を覚える3手詰」と続いて、王を詰ます練習問題は終わりになります。「3手詰」よりも「5手詰」が先にくるのは、先ほどの「超かんたん3手詰」の場合と同じ理由です。「5手詰」のほうは手筋などをあまり必要としない当たり前の手で、5手先の図を頭にイメージするためのトレーニングといってよいでしょう。
王が詰まないなら、逃がさないような手を考える
初心者講座2の締めくくりは、「王手は追う手。詰めろで寄せる」と「王を逃がさない寄せと読み」です。将棋の考え方としてはやや高度になりますが、やさしい例で解説しています。特に待ち駒は大事な手で、戦国時代の戦いでも、あるいはサッカーやラグビーなどにおいても、「はさみ打ち」は当たり前の戦術です。これを卑怯(ひきょう)などといっている間は、初段にはほど遠いでしょう。
【各ページの内容】
超かんたん3手詰問題
パズル的な詰将棋問題ではなく、初級者が解ける実戦的な3手詰のトレーニング問題を作りました。一目でわかるようになるまで、繰り返し説いてください。
少し考える1手詰問題
1手詰の問題ですが、上の「超かんたん3手詰」よりも難しいかもしれません。それは、「空き王手」や「両王手」などのひねった問題が多いからです。
5手先を読む実戦的詰めの問題
5手先を読むトレーニング問題です。詰めの問題ですが、込み入った枝の少ない一本道の読みが中心です。通常の「5手詰・詰将棋」と比べるれば、はるかにやさしいでしょう。
捨て駒あざやか3手詰問題
いよいよ詰将棋らしい3手詰にチャレンジします。上の3手詰、5手詰に比べて飛躍した発想が求められるでしょう。捨て駒中心の問題で直感力を養います。
王手は追う手。「詰めろ」で寄せる
むやみに王手をかけるのはヘボ筋。ここでは敵玉を安全圏に逃がさないための考え方として、「王は包むように寄せよ」と「王の退路に捨て駒」の2つのテーマで解説しています。
王を逃がさない寄せと読み
詰めの一歩手前、王を逃がさない寄せの考え方を解説しています。テーマは、「王は下段に落とせ(格言)」と「囲いの要=金を無力化する寄せ」の2つです。
将棋・詰めの手筋(飛車の使い方)
飛車の力を生かした詰めの手筋について、「送りの金」「じゃまな駒を捨てる一石二鳥の手」「とどめは王の退路を断ってから」「王の上部脱出を巡る読み」の4テーマを中心に解説しています。
詰めの手筋2(角・銀・桂を使う)
飛車に頼らず、角・銀・桂を中心にして詰める手筋を、4つのテーマ「飛車を捨てる発想」「銀・角で玉を追い詰める」「桂馬で詰めの手がかりをつくる」「穴熊の玉を即詰めに」に沿って解説。
やさしい必至のかけ方(詰めよりも必至)
「必至とは何か?」からは始まって、終盤の双方の詰めをめぐる考え方や、必至のかけ方などを解説しています。必死基本問題と詳しい解答・解説がついています。