詰めの手筋2(角・銀・桂を使う)
飛車は最も頼りになる駒ですが、寄せや詰めの段階でいつまでも飛車に頼っていてはなかなか強くなれません。そこでここでは、初心者向けの詰めの手筋第2弾として、角や銀、桂をうまく使うコツをお教えします。最終的な詰めの段階では、飛車を切って守りの要の金を無力化したり、敵玉を危険地帯に出したりすることが、功を奏することがよくあります。
終盤では大駒を大胆に捨てる発想が大事
問題図1 持ち駒が銀と歩一枚では詰まないどころか、王手も続かないように見えます。玉に下方に逃げられたらもうおしまい、と思う前に盤面の中央を見てください。角が出番を待っていますよ。 |
1図(☗1四飛まで)
正解(飛車は要らない)
☗9四飛(1図)、☖同 玉
玉を下方に逃がさないための第一歩は、☗9四飛しかありません。この手は同時に、4五にある角の道を通して、遠く8一に利かしています。同玉の一手に‥‥
2図(☗8一銀まで)
初手さえわかればもう簡単な並べ詰にすぎません。念のため、手順と詰め上がり図を示しておきましょう。
☗9五歩、☖9三玉、☗9四歩、☖9二玉、
☗8一銀まで
取れない銀・角で玉を追い詰める
問題図2 持ち駒は豊富ですが、9筋の歩がついてあるため、角をうまく使って玉を上に逃がさないようにしなければなりません。その前に一つ、金が1枚しかないのでちょっとした工夫が必要です。 |
正解(銀と角の使い方)
☗6一銀、☖8二玉、☗3一角(3図)、☖9二玉、☗1三銀、☖同 桂、☗8二金まで(4図)
3図(☗7一角まで) |
4図(☗8二金まで) |
初手で☗6二金と金を使ってしまっては、もう玉は詰みません。☗6一銀が終盤でよくある手筋で、同玉にはもちろん☗6二金です。次の手、王を上部に逃がさない☗3一角も☖同玉とは取れません。
玉を9二に追い詰めた後は、逃げ道をふさぐ☗9三銀の捨て駒が3番目の手筋で、☖同桂にやっと「とどめの金」の出番を迎えました。
桂馬で詰めの手がかりをつくる
問題図3 一人ぼっちの弱い玉ですが、攻める側もと金と銀が離れたところにいるだけで、手がかりがないように見えます。こんな時には桂馬が活躍することがよくあります。持ち駒に金がないのも不安材料ですが、見事に詰ますことができます。 |
正解(桂を打つ前の捨て駒)
☗8三銀、☖同 玉、☗7五桂(5図)
☖8二玉(7二玉)、☗8三銀、☖7一玉、☗6二角まで(6図)
5図(☗7五桂まで) |
6図(☗6二角まで) |
穴熊の玉を即詰めに!
問題図4 後手は穴熊囲いですが、金が一枚はがされて、と金と飛車が迫っています。でも、先手の持ち駒は角と歩だけですから、後手は「まだ即詰めはないだろう」と考え、必死をかけてきたとしましょう。 この穴熊玉に王手をかけるには、飛車を切るしかありませんから、1手目は簡単です。そして、次の手も駒得をしながら王手をかけるといえば決まっています。最後まで読み切ってください |
正解(玉を囲いの外に出す)
☗8一飛成、☖同玉、☗7二と、☖同 玉(7図)
☗6四桂、☖6三玉、☗8一角(8図)、☖7四玉、☗7五金まで
7図(☖7二同玉まで) |
8図(☗8一角まで) |
☗6四桂に☖8一玉と逃げるのは、☗6三角、☖9一玉、☗8一金で詰み。そこでまず、☖6三玉と香取りに逃げる手ですが、これには☗8一角がぴったりの手筋です。☖7四玉と上に逃げても☗7五金で詰み、また☖6二玉と下がるのは☗7二角成までです。
9図(☗7一角まで)
7図からの正解変化図
☗6四桂、☖6二玉、☗7一角(9図)
☖同 銀、☗5三金、☖6一玉、☗5二金まで
☖6二玉には☗7一角が手筋になります。☖6三玉と逃げれば☗5三角成、☖7四玉、☗7五金ですから、☖7一同銀と取りますが、今度は☗5三金以下詰み。7一の銀が王の退路をふさいでいます。