子どもに将棋を教える、効果いろいろ
集中力や、相手の側から考える思考法が身につくのはなぜか?
将棋を子供に習わせると、どんな教育効果が期待できるのでしょうか? 幼稚園児や小中学生を子供に持つご両親には関心のあることですが、お隣の中国や韓国では「頭がよくなる」が常識のようです。そこで将棋を習う様々な効果についてまとめてみました。
中国教育事情と将棋熱
中国では伝統的にシャンチー(中国将棋)が盛んですが、近年日本の将棋を学ばせることが一種のブームといいます。なぜ将棋がよいのかというと、日本の将棋が世界中の将棋の中で唯一、取った駒が使えるからです。実に日本文化を象徴するルールですが、このことによって将棋は、チェスやシャンチーでは普通のことである引き分けがごく稀にしかなく、複雑で奥深いゲームに発展しました。
中国人いわく、将棋をやると「記憶力がよくなる」「頭の回転が速くなる」「数字に強くなる」…。将棋の教育効果を信じて疑わないようです。中国や韓国の親が子供の脳を鍛えることに熱心なのは、日本よりも出世志向が強く、学歴がものをいう両国のお家事情があるようです。
日本将棋連盟の教育への導入事業
「学校教育への将棋導入事業とは、学校内において、将棋というわが国が誇るべき伝統文化にふれることにより、日本文化の理解を深める機会を設け、礼儀作法の習得、集中力や忍耐力、相手を思いやる気持ちなど児童・生徒の豊かな心や生きる力をはぐくむ機会を設けます。将棋を通じ社会に貢献をすることを目的に行われます。」
また、平成18年10月から3年間、東京大学教養学部で「教養教育への囲碁の活用研究部門」が設立されて研究が行なわれました。この部門には(株)日能研と(財)日本棋院が協力しています。その日本棋院では囲碁という頭脳ゲームについて次のような効果があると説明しています。
・集中力が身につく ・創造力を育む ・発想が豊かになる
・判断力を高める ・ストレス解消の効果がある など
上の効果は、囲碁だけでなく将棋でもまったく同様に期待できるものと思われます。
日本の伝統文化への理解、礼儀作法の修得
将棋は、江戸時代から大衆的に親しまれた日本の伝統文化です。そうした日本古来の文化への理解を深めることは、グローバル化された世界の中で将来を担う子供たちにプラスになると思われます。さらに、日本の伝統文化が大切にしてきた礼儀作法が身につくのも、現代の子供たちにとっては重要でしょう。
将棋の対局をするときは、将棋版の前に座ったらまず一礼をし、先手、後手を決める際はそれぞれの作法に従って行ないます。対局中はむだな話はつつしみ、盤面に集中します。形勢が開き、負けが確定的になったら、終局を待たずはっきりと「負けました」の意思表示をするのが礼儀です。
将棋のこうした対局マナーを守ることによって、相手を敬う礼儀作法が身につきます。もちろん、礼儀作法が身につくものはこの他にも、スポーツや書道などの習い事の中にたくさんあります。礼儀作法を身につけることを主目的として、わが子に囲碁や将棋を習わせるという方は少ないでしょうが、将棋や囲碁を習う際の重要な副産物の一つといえます。
集中力が身につく
これは将棋ではなく、囲碁観戦記に書いてあったことですが、あるタイトル戦の最中、すさまじい雷鳴と豪雨に見舞われ、対局場は異様な空気に包まれました。ところが碁に集中している両対局者には豪雨や雷の音はまったく聞こえず、稲光にも気づいていなかったのです。将棋の一流棋士でも同様でしょう。げに恐ろしきは天才の集中力です。
相手の側に立って考える思考法
「自分がどうしたいか」だけを考えていては、将棋はなかなか上達しません。強くなるにつれて「相手のねらいは何か?」「こう行ったら、相手はどう来るだろうか?」というような思考ができるようになります。相手の側に立って物事を考えることは、教育現場ではもちろんのこと、ビジネスでも大変重要なことです。そこから協調性や多様な思考法、戦略的思考などが養われることが、将棋上達のメリットといえるでしょう。
TOP HOME