駒の並べ方(順番)の作法
対局に先立って駒を並べる際に、順番の作法にこだわる人がいます。これを実践しているアマチュアはかなり強い人です。初段クラスでさえ、作法を重視している人はあまり見かけません。まして初中級者が仲間内で楽しむのに、こんな作法を持ち出すのでは、周りはしらけるでしょうね。
でも、駒の並べ方は知っていて損はありません。将来、強くなって地区の将棋大会や、プロないしアマ強豪の指導対局など、改まった席で対局をする際は、作法を知っていたほうがよいでしょう。そんな格式ばったことは嫌いだという方は、「そのほうが美しくて格好よく、強そうに見える」と考えてはみてどうでしょうか。
「大橋流」駒の並べ方
現在、一般的に行われている作法は「大橋流」です。実は、筆者は長い間、自分の知っている並べ方が「大橋流」というものだとは知らず、流儀は一つしかないと思っていました。大橋流がそれほどに浸透しているのは、次に示すように自然で覚えやすいからでしょう。
【並べ方の順番】
1.まず、王(または玉)を下段中央に置きます。
2.金を王の左に置き、次に右に金を置きます。
3.同様にして左銀、右銀、左桂、右桂、左香、右香の順に駒を並べます。
4.中段に移って、角、飛車の順に駒を置きます。
5.最後に歩ですが、順番は王(玉)から右香を並べたのと同じ順番になります。
先手から見た符号でいえば、5七、6七、4七、7七、3七、2七、8七、1七、9七の順です。
以上を整理すると、@王、金、銀、桂、香、大駒(角・飛)の順に並べ、同格の駒は左を先にする、A最後の歩は、王から香を並べたのと同じ順番で中央から端へと左右交互に並べる、ということになります。言葉で表すと複雑ですが、一度並べてみれば誰でもすぐに覚えられます。
「伊藤流」駒の並べ方
大橋流が自然で一般的だといいながら、伊藤流を紹介するのはあまり意味がないのですが、歴史的な文化としての作法ですから、簡単に説明しておきます。
【並べ方の順番】
1.まず、王(玉)を中央に置き、次に左金、右金、左銀、右銀、左桂、右桂の順に並べていくまでは、大橋流と同じです。
2.ここで香を後回しにして、歩を左端から右端へ順番に9枚並べます。
3.中段に角、飛車の順に置きます。
4.最後に左香、右香を置いて並べ終わります。
香を後回しにするのは、何か意味づけがあるのでしょうが、筆者にはわかりません。大駒よりも先に歩を並べることと関係があるのかもしれません。歩があれば、香車が相手の陣に直射しませんから…。礼法の影響かもしれません。
伊藤流の作法は、大橋流に比べて複雑ですが、歩の並べ方だけはシンプルです。どちらの流儀を選ぶかは、家元制がなくなった現代では趣味の問題といえるでしょう。
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