飛車を使った〔数の攻め〕簡単問題
最強の駒=飛車は他の駒と連携することでパワーを発揮する
将棋の入門時は、駒の動かし方とルール、駒の取り方、王の詰め方を簡単に教わると、すぐに実戦ということになるのが普通です。でも、それではほとんどの人がどう指してよいかわからず、将棋の形になりません。そこで、前のページでは守りの駒(金銀3枚)と攻めの駒(飛角銀桂)、それに王の囲い方の例を解説してきましたが、それでも将棋を楽しむにはまだ不十分です。
その理由は飛車の使い方が分からないからです。飛車は最も破壊力を持った駒ですが、単独では十分にその威力を発揮することができません。そう、飛車+α(プラスアルファ)の駒が連携することで、初めて敵陣を破る力を持つのです。
ここでは、飛車先の歩をついて歩を交換をした後、敵の角頭をどのようにして破るかを、問題形式で解説していきます。
飛車先の歩を切ることの利点とは
左の図のような形は相居飛車によくできます。先手番ですが、右側だけに絞ると、どう指しますか? ここは次のように、飛車先の歩を突くのが良い手です。
☗2四歩、☖同歩、☗同飛、
☖2三歩、☗2八飛
結果、先手の2五の歩が自分の駒台に移動しました。「歩交換しただけで、駒の損得はなし。たいした成果はない…」と思うかもしれませんが、そうではないのです。盤上にある歩と、駒台にある歩では価値が違います。持ち駒の歩は、二歩にならない場所なら盤上の好きなところに打てます。
それともう一つ大きな利点があります。それは先手の飛車が角頭の歩を直接にらんでいることです。金が移動すると、すぐに☗2三飛成になります。このような場面では、先手は2三の地点をめがけて数の攻めを狙っていきます。
単純な数の攻めの問題5問
飛車プラス1枚で角頭を攻め、敵陣を破る手を考えてください。 〔ヒント〕 第1~4問は持ち駒を活用します。第5問は間違いではありません。その後の変化がたくさんあり、難しい問題です。 ※解答と解説は下段 |
第1問 |
第2問 |
第3問 |
第4問 |
第5問 |
解答と解説
第1問 ☗8七香香が手に入ったら、飛車の頭に香を並べるのが単純ながら強力な攻めになります。この後、相手がどう受けても、☗2三香成で成功です。この後、☖同金と香を取れば☗同飛成で、後手陣は壊滅状態です。
第2問 ☗1五桂
桂が手に入ったら、2三の地点を直接狙う1五桂はよくある筋です。次の2三桂成を後手は防ぐことができません。なお、後手陣が端歩を1四と突いてあり、3四に歩がなければ、今度は☗3五桂と打ちます。
☗2三桂成に☖同金は☗同飛成。また、☖4四角と逃げれば、☗3二成桂、☖同銀となり、次に☗2二歩などと攻めが続きます。
第3問 ☗3四銀
問題図は☗3五歩に☖同歩となったところです。ここで空間のできた3四の地点に銀を打つのが強烈な攻めです。後手は次の☗2三銀成を防ぐことができません。数の攻めの成功です。
第4問 ☗2四歩
先手は歩1枚しかありませんが、☗2四歩と垂らすのが手筋で、次に2四歩成と、と金をつくる手を後手は防げません。なお、☗2三歩と直接角に当てて打つのは、☖3一または3三に角を逃げられて、攻めが続きません。
第5問 2四角
☗2四角と金の頭に出るのが正解で、王手になっています。☖同金と角を取るのが自然ですが、☗同飛車で今度は角取り。角が逃げれば☗2一飛成ですから、☖3三銀と引き☗2三飛成までとなります。後手は角を取って駒得していますが、守る駒がなく、龍が暴れるのを防ぐことができません。
次に、☗2四角の場面での変化です。
王が逃げるのは☗5一角成、☖同玉と角をただで捨て、☗2三飛成と金を取ります。
☖3三銀は☗同角成で、次に☖同桂、同金、同角のいずれも、先手は2三または2二に飛車が成って、金または角が取れます。
第5問は初心者には難問でしたが、盤に並べてみると、将棋の奥深い面白さが味わえると思います。
☆関連ページ(初心者講座1)
飛車の威力1/十字飛車 飛車の威力2/数の攻め
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