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序盤の考え方/八枚落、六枚落を例に

実戦の中で覚える将棋

 

 将棋に限らず、何をするにも最初はわけが分からないものです。ルールを教わり、駒の動かし方をだいたい覚えて…。教えるほうもこれ以上何を教えていいかわからないので、「実際に将棋をやってみよう」ということになります。そして、強い人に将棋を教わる場合は八枚落ちか、六枚落ちのハンデキャップ付きと相場が決まっています。

 八枚落ちとは、上手(うわて)が初めから飛車角銀桂香を落とした上で戦うハンデ戦です。たとえは悪いのですが、上手にとって八枚落ちは、両手両足をしばられて戦う格闘技のようなものです。やがて、下手(したて)が八枚落ちで勝てるようになると、今度は上手の陣に銀が2枚加わって、六枚落ち(飛車角桂香落ち)になります。

 また、いっしょに将棋を始めた入門者同士で実戦をやるのも大事なことです。理屈も大事ですが、最初はスポーツ同様にやってみなくては一歩も先に進みません。スポーツは体で覚えるゲームですが、将棋は目と指先で覚えるゲームです。考える頭を使うのはその先の話です。

 とはいえ、「さあ、実戦をやりましょう」といっても、最初はどの駒を動かしていいか、見当もつかないと思います。そこでまず、八枚落ちの序盤の指し方を少し紹介しましょう。

八枚落ちの序盤に学ぶ―飛車の使い方

 駒落ち戦では、駒を落としている上手のほうから指し始めます

1図 ☗が下手、☖が上手。八枚落ちは上手の☖3二金から始まるのが普通です。この手の意味は、あらかじめ下手の角の筋に当たる3七の地点を守っておくことです。次に4手までの手順を示します。

☖3二金  ☗7六歩  ☖7二金  ☗2六歩 (2図)

 【1図】
 【2図】

 上手は左右に金を配置して下手の攻めに備え、下手は7六歩で角道を開け、2六歩と飛車先の歩を突いて、上手の2筋の歩にねらいをつけました。このように、序盤ではまず最も強力な駒である飛車角が働けるようにすることが重要です。次に、2図から定跡の一つとして知られる手順を示します。

 【3図】

 2図からの指し手
☖5二玉  ☗2五歩  ☖6四歩  ☗3八銀  ☖6三玉  ☗2七銀  ☖7四歩  ☗2六銀  ☖7三金  ☗3五銀 (3図) 

 3図までとなって、2四の地点が争点となりました。上手は2四に歩1枚しかきいていないのに対して、下手は歩、銀、飛車の3枚がきいていますから、数の力で圧倒的に優位に立っています。上手陣は後ろにひかえているのが金1枚だけですから、こういう攻めの形が組めれば確実に突破できます。飛車が相手の陣地に突入して龍になれば、攻めはひとまず成功です。

六枚落ちの序盤から学ぶ―弱点のつき方

 【4図】

  【5図】

  【6図】

 【7図】

 4図は六枚落ちの駒の配置です。上手は飛車角桂香の6枚を落としています。八枚落ちと比べて銀が2枚増えた分、守備の面で少し強くなっています。上手から始めて3手目までは4枚落ちと同じ進行です。

 4図からの指し手
☖3二金  ☗7六歩  ☖7二金  ☗6六角
☖8二銀  ☗9六歩 (5図)


 4手目、下手は☗6六角と出て、次に9三角成をねらいます。そこで上手も☖8二銀と守ります。しかし、銀1枚の守りは弱いので、下手は9筋を攻める方針を立てました。その第一歩が9六歩です。6枚落ちの上手陣は、桂と香がないため端が弱い。そこで、その最も弱いところに攻めの駒を集中させるのです。

 5図からの指し手
☖7四歩  ☗9五歩  ☖6四歩  ☗5六歩
 (6図)


 8手目、9五歩と端歩(はしふ)を突いて、早くも攻撃態勢が整います。上手の9筋の守りは銀1枚なのに対して、下手は9九の香と6六角の2枚が遠くからにらんでいます。

 そこで上手は「もう、守るのはあきらめた」と言わんばかりに、☖6四歩と突きました。何でもないように見えるこの手は、実は次に☖6五歩と角の頭をねらい、じゃまな角を追っ払おうという意図です。次の5六歩は角の逃げ道を作る意味です。☖6五歩とされても5七角で、相変わらず角は9三の地点を直射しています。

 6図からの指し手
☖5二王  ☗9四歩  ☖同歩
(同=直前の9四のこと) ☗同香 (7図)

 いよいよ待望の開戦です。9四歩と仕掛ければ9四同香(7図)までは必然。次に9二香成(銀取りになる)の敵陣突破をねらっています。それを防ごうとして☖9三歩と打っても、同香、☖同銀、同角成となって大戦果を上げることができます。

 以上、初めての方には難しかったと思いますが、盤に並べて一手一手、駒を動かしながら味わってみると、理解しやすくなるでしょう。序盤の将棋の指し方の基本的な考え方を知る上で参考になると思います。


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